LYRIC

■洪水

意味がない 意味がないから
窓にかいた印も
とめどない洪水でまた
流されてしまうの

君がいない 君がいないから
肩についた埃は
道半ば吹いた風が 飛ばしてみせた

未完成で　未完成で
なにもかも
未完成で　未完成で
なにもかも

さりげない さりげなくない
その狭間で揺れて
とめどない洪水がまた
押し寄せてきているの

つつがない つつがないまま
路地についた蕾は
昼過ぎに降った雨が
落としてみせた

未完成で　未完成で
なにもかも
未完成で　未完成で
なにもかも

なにもかも　なにもかも
未完成で
なにもかも

■巻きもどる

僕らはまた
徐々に加速するテープに
乗っているの

読み古したムック本は
春風を消費している

君は違う速度で
頷いては動いたまま

フィルム越しの合図
ぬるくなった日々はどこへ
夕陽に溶けたアイス持って
巻きもどる 巻きもどる

僕らはまた
徐々に加速するテープに
乗っているの

のぼりきったエッシャー階段
春風はもう引いている

君は違う速度で
頷いては動いたまま

フィルム越しの合図
久しく待った君はどこへ
その気になれば いつだって
巻きもどる 巻きもどる